2020年1月7日 8 min read

2020年の仮想通貨やビットコインにとって大事なキーワード・テーマ

2020年の仮想通貨やビットコインにとって大事なキーワード・テーマ
Photo by Traxer / Unsplash

まず、ビットコインについて。

1つめは、なんといってもライトニングネットワークの完成だろう。開発当初に欠陥だといわれてきたことについては、ほとんどが解決してしまった。次にあげるような機能も今年には解決されることがほぼ確実であり、ライトニングへの仕組み的な批判は的外れになることが確認されるだろう。

  • 複数のチャネルをつかった支払い(AMP)
  • インボイスを使わない支払い
  • 相手がオフライン時の支払い

一方で、まだまだライトニングの技術は理解されているとは言いがたく、すでに解決済みの論点にかんしてもいまだ疑問を呈しているひともすくなくない。今年は、こうした認識が変わっていき、取引所での採用ふくめての実用化がすすむことを期待したい。

なお、ライトニングの技術はさらに進歩しており、実装のスピードも早く、来年以降も進化が止まらないとみている。

2つめは、シュノア署名とTaprootだ

以前からこの2つの機能の導入は議論されてきた。

すでにシュノア署名は標準化は終わっており、BCHでは先行してシュノア署名が稼働ずみだ。ビットコインへの導入に関してはさらに広い議論とコンセンサスづくりが必要となる。年内にコードのマージ、アクティベーションの日時などが決まることを期待したい。

この技術のメリットは多数あるが、理解しやすい利点を1つを述べると、シュノア署名とTaprootをつかったトランザクションはどれも同じように見える。普通の送金も、マルチシグも、ライトニングのチャネルの開閉も、もっと複雑なコントラクトも、同じようなフォーマットのトランザクションに見えて、区別がつかない。これはプライバシーの向上をもたらす。

過去の記事も参照してほしい。

Schnorr署名、Taprootが描くビットコインの未来
5月6日、ビットコイン開発者が参加するメーリングリストにPieter Wuille氏からTaprootとSchnorr(シュノア)署名に関するBIP(ビットコイン改善提案)のドラフトが提出されました。ビットコインの開発プロセスにおいて、BIPの提案→採択→導入、という流れの最初のステップが正式に始動した形です。 --Schnorr署名とは-- ビットコインの根底にある暗号化技術における、暗号を署名するアルゴリズムの一つです。これまでビットコインでは世間で広く使われているECDSAという署名アルゴリズムを使っていますが、2008年まで特許で保護されていたシュノア署名のほうがセキュリティ面や効…

ビットコイン以外では、インターオペラビリティ、クロスチェーンまわりの進展を引き続き注目していきたい。この話の前提として、イーサリアムの停滞と、代替のプラットフォームの流れをおさらいしておこう。

イーサリアムのPOS移行が少なくとも3年程度の長丁場であるという認識が固まりつつある。今年2月に予定されている第一弾のPOSの移行では、POSチェーン上でスマートコントラクトが実行できるわけはない。その後シャーディング、WASMの実装など、複数のハードルを経て、ようやくPOS版のイーサリアムが完成するというロードマップになっている。予定では3年程度だが、暗号通貨ではロードマップにどうりに開発が行われた事例は皆無だ。3年という言葉は、およそ倍の6年を暗に意味し、業界にもっとも精通するひとなら、永久に開発されないほうにベッドするだろう。

すでに1月のPOSの予定も夏に延期するという話もでているし、これが来年にさらに延期になっても私は驚かない。

こうした中で、イーサリアムに見切りをつけるプロジェクトもでて来た。具体的には、ゲームなどの高速トランザクションが必要とされ手数料も低く抑えたいプロジェクトはEOSなどのプラットフォームにすでに移動した。

もう少し骨太のプラットフォーム系は、Cosmosベースで独自のブロックチェーンを立ち上げてそちらに移行するトレンドが生まれた(Aragon)。

イーサリアムに残るのはステーブルコインやセキュリティトークンなど、セキュリティ第一というプロジェクトになる。

こうしたすみ分けが起こるだろう。

この3つのなかで、スケールするのは独自チェーン+相互運用での展開である。独自チェーンであれば、必要に応じて独自の設計やトークンポリシーを導入できるほか、Cosmos-SDKベースであれば開発のハードルが大きくさがる。イーサリアムのEVM互換のEthermintもすでに利用できるため、既存イーサリアム上のプロジェクトが引っ越しする土壌も整備された。

これらの独自チェーンがお互いにトークンの相互運用を行うことで、基本を分散しつつも、ゆるやかに提携していくブロックチェーンのインターネットが出来上がる。

そのためのIBC(インターブロックチェーンプロトコル)の開発が進んでいるが、これは夏ごろにはリリースされることを期待したい。IBCにより、パブリックチェーンだけではなく、Libraなどのプライベート・コンソーシアムチェーンも相互運用の対象になろう。IBCの目玉はバイナンスチェーンや、ステーブルコイン、Libraなどのコンソーシアム系のプロジェクトの参加になると予想する。

しかしながら、技術的な設計の試みとしての美しさや期待度は高いが、これが全てのソリューションになるとも思えない。この分野も進展はそれほど早くない。

年内の進展としては、

  • IBCが稼働し、数個のチェーンが相互接続される
  • Polkadotがリリースされる

この2つが当面のメルクマールになるだろう。

なお、Polkadotは、イーサリアムの共同創業者であるGavin Woodが率いるプロジェクトで、こちらもインターブロックチェーンといわれてきたが、アーキテクチャや志向をみるに、イーサリアムの再設計とみてよい。Gavinはイーサリアムは失敗だと考えており、もう一度あたらしくイーサリアムを設計するならどうすべきかをゼロから考えたところPolkadotの仕組みになったという。イーサリアム2.0の完成を待つことなく、これらの代替プラットフォームが本格的に利用できるようになるのが今年であると言える。

2020年の相場予想

結論をいうと、ひきつづき仮想通貨市場全体でみると(ビットコイン以外の)ダウントレンドは継続するだろう。

昨年のおさらいをしてみよう。昨年は明らかにビットコイン1強が認識された年であった。

アルトコインは低迷し、イーサリアムですら下値を切り下げつづけている。

昨年は、機関投資家が参加する年だといわれていた。Bakktなどの先物市場も整備されたものの、ETFはまだ上場されず、ほんとうに機関投資家が増えたのか?というのは今後の検証が必要である。

ただし、アルトコインの崩壊とビットコインの1強に、機関投資家が増えたことを読み取ることができる。つまり、仮想通貨は2018年、2019年と大きくダウントレンドであり、それが今も続いているという認識だが、機関投資家による買いの唯一の対象となったBTCだけが、その値段を維持できたという視点である。

つまり、機関投資家はたしかにやってきたのだ。ただしBTCだけに。

昨年はビットコインの先物やオプションなどの市場が整備され、流動性も大きく増えた。こうしたデリバティブ市場が存在し流動性があるのはBTCだけである。この市場環境が決定的に大きい。BTCだけが多様な運用ストラテジーやヘッジが可能だからである。これが出来なければ大きなお金は入ってこないし、逆にいうと、唯一BTCだけにお金が流入したのはこうした市場環境が整備されたからである。

では今年はアルトコインにもこうした市場環境が広がるかというと否定的だ。したがって機関投資家の買いがアルトコインにまで広がるとは思えない。イーサリアムですら、POS移行への不透明感からも買いの対象となるのは難しいだろう。

次に詳しくトレンドを見ていこう。

  • ビットコイン

半減期までは7000ドル前後が続く。半減期の瞬間は、ブラックホールの事象の地平面を超えるときのように静かに何事もなかったようにすぎるだろう。

その後、年末にかけて、10000〜14000ドル程度。昨年の最高値14000ドルを超えられれば非常に良いとの印象。

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