2020年8月25日 3 min read

CRVに見る、Defiプロダクトのガバナンストークン導入、中央集権化、巧妙な意図

CRVに見る、Defiプロダクトのガバナンストークン導入、中央集権化、巧妙な意図
Photo by Oana Cristina / Unsplash

新世代のDefi、Curve.fiのガバナンストークンとして鳴り物入りで先週に主要取引所に上場したのもつかの間、大口の間で奇妙な綱引きが行われています。

特に物議を醸しているのは、報酬のブーストという機能です。

CRVでは、他のDefiプロダクトと同様に、流動性を提供すること(LP)により、その額に応じてインセンティブとしてCRVトークンが配られるという設計になっていました。このあたりの配布の方法はスタンダードでした。配布は長期にわたって行われ、長期のインセンティブをもたらします。

さて、では手に入れたCRVトークンは何につかうのでしょうか?大概のガバナンストークンは、なにかプロダクトの変更などの意思決定の際に投票できるといったくらいしか使いみちがないため、その価値づけをめぐって議論が起こっているのはご存知のとおりです。CRVでは、単なる投票券のほかに、報酬をブーストするためトークンとしての性質を付与しました。

来週より、Curveでは、新規に発行されるCRVの割当が、なんと60%もカットされます。つまり、いきなり報酬が60%減ります。

そのかわり、この60%は、CRVトークンの「現保有者」の間で配分されるという配布方法に移行します。

「現保有者」と書きましたが、単に保有しているだけではだめで、コントラクトにトークンを「ロック」する必要が有ります。その期間が1年とか2年とか長期です。擬似的なPOSですね(バリデータなどはありません)

しかし新しく立ち上がったコインですから、一般の参加者はトークンを余り持っていません。大量のトークンを保持しているのは、当然ながら運営です。

そして、昨日、物議を醸したのは、このロックのシェアのうち運営が7割以上になっているということです。つまり、一般の報酬を6割減らした上、その6割の新規割当を運営が7割持っていくわけです。

ひどい話です。

ブーストという名を借りた一般ユーザー報酬カット

これが実態なのですが、運営側としては、このしくみを「報酬のブースト」だと言っています。

CRVをロックすることで、最大2.5倍に報酬が増えるしくみだと宣伝していて、みんなそれによってたかっています。

どういうことでしょうか?普通のひとは流動性の報酬を6割をへらされますが、CRVトークンロックに参加すると最大でその減った6割分を稼ぐこともできます。ロックをしていないひとからみると、差し引き2.5倍に報酬が増えるチャンスがあるようにみえるというわけです。

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