ビットコイン研究所レポート VOL.184 (2022年11月21日)
悪材料は出尽くしへ ~ ビットコインの底打ち説を唱えてみる
11月8日に始まったFTXの破綻劇。日経新聞の一面はFTX破綻で飾られ、論客インフルエンサーは「暗号通貨を買う人って頭悪いですよね」とダメ押し。首都圏の電車は朝から止まり気味と、もう毎日がボラティリティに満ち満ちています。
ビットコインがさらに値下がりして1万ドルを割ることもあるかもしれませんが、一つ確実なことは、将来の値段が分かる人はどこにもいないということです。
ならば、世の中が暗号通貨にダメ判定を下しているいま、まったく逆の角度から市場を捉えることもアリだと思うのです。
そこで今回の記事では、「FTXでビットコイン底打ち説」を唱えてみたいと思います。できるだけ客観的なデータを集めていますが、私自身は「ビットコインの登場でドルは役割を終えた」という極端な思考を持つ人間です。あくまで思考の踏み台を提供するものであり、値動きには何の保証もない点を、くれぐれもご了承いただければと思います。
では、さっそく見ていきましょう!
ドル売りに持ち替えるファンド
ビットコイン価格とは、ビットコインと米ドルとの交換比率です。ですからビットコインの価値が同じであったとしても、米ドルが強くなれば「ビットコイン価格」は安くなります。
ドル>ビットコイン = ビットコイン価格は下がる
逆にドルが弱くなれば下のようになります。
ドル<ビットコイン = ビットコイン価格は上がる
つまり市場がドルを買っているのか、それとも売っているのかが分かれば、ビットコイン価格への影響も見えてくるかもしれません。
さて直近の市場でドル売りの流れがわかりやすいのは、欧州通貨ユーロでしょう。一時期はドルとの比率が1.0を割り込み「ユーロオワタ」となりました。が、今はパリティを奪還しています。
参考までに2020年以降、ユーロの先行きに示唆を与えてくれるファンド筋の動向を以下に書き込んでみました。
少し補足しておくと、ビットコインのように市場の参加者が時間とともに増えていくような市場では、高値の特定は無理と考えておいた方が無難です。
上のチャートでも、ファンドがユーロ売り(つまりドル買い!)へと持ち替えた2021年4月から6月以降、ビットコインは(ドル買いにもかかわらず)再び6万ドル越えをトライしています。このあたりがビットコインの独自でもあり、参加者を引きつけるところですね。
さて本年9月中旬から10月初旬、この期間にファンドはユーロ買い(つまりドル売り!)へとポジションを持ち替えています。ビットコインが19,500ドル±1,000ドル程度で推移していた期間ですね。
ユーロは為替市場の中でも、唯一米ドルからの退避資金を受け止めるキャパシティを持つ通貨です。金融政策の異なる国が、なぜか同一の通貨を使っているという矛盾だらけのユーロですが、すくなくとも市場に少なくない影響を与えるファンドが「ドル売り」を選択していることは教えてくれています。
ほかにも英ポンドやNY金もドル売りを選択していますが、このあたりはビットコインから遠くなってきますので、またの機会に譲ります。いずれにしても、市場は米国の中間選挙を境にドルが売られるという前提でポジションを構築しているということだけ、頭に入れておけば整理しやすいかもしれません。
ヘッジしたはずの原資産がない!?
さてビットコインに話を戻しましょう。FTXが顧客資産の引き出しを停止した11月8日以降、CMEの先物市場は異様な値動きを見せています。
たとえばビットコイン現物との価格差などが顕著でしょう。±0.5%程度で推移をしていた現物と先物の価格差は、11月8日に-4%を下抜けするまで拡大します(先物の方が現物より大幅に安い)
考えられる理由は2つです。