2022年12月5日 6 min read

Vol.186 --- 98%銀行に握られた欧州中銀が出す「ビットコイン終わった宣言」の実体

Vol.186 --- 98%銀行に握られた欧州中銀が出す「ビットコイン終わった宣言」の実体

  1. ビットコインが合法取引に使われることは、事実上ない
  2. 暗号通貨への規制が許可として誤解されている(合法ではない)
  3. 銀行が評判を地に落とすリスクを持ち込むビットコイン

欧州中央銀行(ECB)が発表したビットコインへの非難記事は、控えめに言って「口ぽかーん」な内容でした。

そもそも2で暗号通貨は合法でないと主張しておきながら、1の合法取引も何もあったものではありません。

「非合法の麻薬は合法的に取引されていない」

とか、

「未確認飛行物体のUFOは正式に確認されていない」

と言っているようなもの。前提条件が永遠にループする手品のような文章になっています。

さておき、なぜ欧州中央銀行はここまでビットコインを嫌うのでしょうか?

当記事では、欧州中央銀行が民間金融機関の代弁組織であることを数字とともに検証することで、その背景に迫ってみたいと思います。

参考:以下は欧州中銀が公開した「ビットコイン終わった宣言」記事
Bitcoin’s last stand (By Ulrich Bindseil and Jürgen Schaaf)
https://www.ecb.europa.eu/press/blog/date/2022/html/ecb.blog221130~5301eecd19.en.html

要点を日本語で説明した記事はこちら
https://jp.reuters.com/article/crypto-currency-ecb-idJPKBN2SL2R8

営利銀行の代弁組織である欧州中央銀行(ECB)

欧州中央銀行は、自らのミッションを「価格の安定と安全なお金」と明言しています。価格の安定?以下は欧州圏のインフレ率です。

欧州のインフレ率(前年比) https://ec.europa.eu/eurostat/web/hicp/visualisations

利益を出せていない民間企業の経営者が国の施策を批判したところで、何の説得力も持たないのではないでしょうか?

欧州中央銀行も自らの存在目的を「価格の安定とお金の安全」に置くなら、まず価格の安定を達成してからビットコインに文句を言ってもらいたいものです。

すみません、ちょっと脱線しました。

さてECBは政策の意思決定をする際、各分野のアドバイザーから広く意見を集めて決定をしていきます。そう、広く公平な分野です。

これに関しては、2017年に公開されたECBのアドバイザリー属性に関するレポートが参考になります。

Open door for forces of finance at the ECB
https://corporateeurope.org/sites/default/files/attachments/open_door_for_forces_of_finance_report.pdf

いくつかの数字を抜粋してみます。

  • 欧州中銀のアドバイザリーは98%が民間金融機関で占められている(517座席うち508)
  • 消費者団体は2座席のみ(2/517=0.3869%)
  • 最大座席を確保する会社は Euroclear 社
  • 2位ドイツ銀行、3位BNPパリバ、6位Citi など

https://corporateeurope.org/sites/default/files/attachments/open_door_for_forces_of_finance_report.pdf

これらを見る限り、欧州中央銀行(ECB)の意思とは、98%の確率において民間金融機関の代弁であると言うことができそうです。

というか、消費者団体からの意見は1%に満たないアドバイザリーに託されています。そりゃ銀行有利な決定が下され続けるのも、当然かもしれませんね。

ビットコインで存在意義を問われる越境決済会社

さて欧州中央銀行に最大の影響力を持つのが、民間の金融機関であることが分かりました。

では、それらの金融機関はどのような業務をしているのでしょうか?目安としてアドバイザリーで最大議席をもつEuroclear社を事例に見てみましょう。

同社のサイトによれば、事業領域は「国債・株式・デリバティブ取引などの越境決済業務」となっています。まさにビットコインに駆逐されかけている業態ですね。

同レポートが出た2017年の越境送金といえば、「遅くて使い勝手が悪くて、自分の金がどこに消えてしまうか分からず不透明極まりない」ものでした(経験者は手を上げて!)。

一度送金してしまえば、相手方に着金するまで自分の「お金」がどこにあるかは一切不明。送金に意味なく日数がかかる理由として、中継銀行が預かり資金で金利を稼いでいたという指摘もあるほど。

ロバートキヨサキは大ヒット著作の中で、お金を稼ぐために使うべきは「Other Peoples’ Money (OPM)」だと言い切っていました。

中継銀行の経営者も、読書家だったということでしょう。

それがビットコインの誕生で、一気に化けの皮を剥がされてしまいます。

だってビットコインを使えば、相手が銀行のない僻地にいようと、土日だろうと、一撃で送金が完了してしまいます。

こうして俯瞰すれば、民間金融機関の代弁組織である欧州中銀(ECB)がビットコインを目の敵にする理由も、おのずと明らかになるのではないでしょうか。

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さて欧州銀行が「ビットコイン終わった宣言」を出してくれたおかげで、心なしか値段の方も底打ち気配がちらほらと感じられる様子になっています。

すこしだけビットコインの値動きに影響を与える要素を確認しておきましょう。

まず下のグラフから。こちらは今の市場参加者心理を一枚に集約したような動きとなっています。

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