アルトコイナーの間で昨年夏にDeFiと呼ばれるものが大流行しました。本人確認、いわゆるKYCが不要な気軽さやギャンブルのような要素が受けたのか、DeFiプロトコルの預託額は2020年6月の11億ドルから増え続け、今年5月中旬には一時900億ドルに迫り、現在も550億ドル前後で推移しているようです。
バグ報告の絶えない、競合プロジェクトのコードをコピペして作ったようなアプリ、発行者がシニョリッジを得る以外の効用が不明なトークンが乱発行されることに疑問しか感じないビットコインマキシとしては、興味をそそられませんでしたが、こういうサービスに大きなニーズがあることは改めて認識しました。
ビットコインにも運用を通して収益を得る方法はあります。しかし、現在ビットコインは価値貯蔵手段から交換手段への進化過程に特有の価値急上昇期にあり、これまで年平均409%も増価しています。保有しているだけで十分なリワードが得られるのに、わざわざ保有量の減少につながるリスクを冒して運用し、数%の余剰リターンを求めることに批判的意見も多いです。さらに、期待通りに収益を得たら、今度は納税という手間も発生します。確かに割りに合わない気がしますが、やりたい人はやれば良いし、実際に使われることで商品が洗練され、画期的な商品開発にもつながるので、ビットコイン界隈にとってはネットポジティブだと捉えています。
ビットコイン運用でイールドを得ることに肯定的かつ熱心な数少ないインフルエンサーの一人、KrakenのDan Held氏は自身の運用パフォーマンスを毎月開示しています。6月末締めの最新報告によると、30BTCを運用して年平均約5%のリターン、2年ちょっとで2BTCを稼いだそうです。
以下、Held氏のTweetなどを参考にビットコインの運用について考察します。
https://twitter.com/danheld/status/1414645169736097792?s=20
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ビットコインの主な運用法は以下の通りです。
- レンディング
- デリバティブ取引(カバードコール)
- コインジョイン
- ライトニングプール
1のレンディングは仕組みが分かりやすく手軽に始められるので、最もポピュラーな運用方法で、Ledn、BlockFi、Genesis、Celsius、Nexoと参入企業も多いです。また、HodlHodlのようにKYC不要の非中央集権P2Pプラットフォームも昨年登場しました。
2は株などのデリバティブ取引と同じ要領でできるため、トレーダーに人気です。Deribit、LedgerXあたりがメジャーですが、ここでもAtomicFinanceというKYC不要の非中央集権プラットフォームが今年中にサービスイン予定です。
3と4は流動性を提供する見返りに報酬を得るもので、3はビットコインのトレーサビリティを絶ってプライバシーを守るためのミキシングサービス、4はライトニングネットワークのペイメントチャネルのキャパシティを売買するマーケットプレイスです。どちらも1、2に比べるとイールドは低いですが、トラストミニマイズな非中央集権型です。
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以下、ビットコイン運用のメリットとリスクを、ビットコイン保有量をひたすら増やしたいHodler目線で考えてみます。
メリット:
- ビットコイン保有量を増やせる
- 売却の抑止力効果
1はもちろん運用失敗の可能性もあるので、許容可能な最悪シナリオをあらかじめ想定して、保有量の何%をどんな商品で運用するか、リスク管理が必須です。