2025年10月17日 5 min read

ダストリミットはポリシーによる制限なのに比較的守られている理由

ダストリミットはポリシーによる制限なのに比較的守られている理由
Photo by Austin Ban / Unsplash

ここ半年の間、ビットコイナーの間で(何の生産性もない)議論を巻き起こしているOP_Returnに関するポリシールール緩和ですが、緩和する理由としてもはやポリシールールの既定値に関わらず迂回されてしまっていること、迂回のためのインフラがビットコインの公平性を歪めたり(マイニングの中央集権化につながる)使い勝手を悪くする(手数料推定の正確性を毀損する)ことが挙げられます。これを元に緩和してしまったほうが良いというのがBitcoin Core開発陣の多数の判断です。

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実際に緩和したところで、大きなデータの記録にはOP_Returnを使うより安い方法があるので大した影響はないと予想されます。そういう意味でも本当に不毛な議論です。

さて、ポリシールールには色々ありますが、その中の1つにダストリミットがあります。これはトランザクション出力について、アドレスタイプごとに「最小金額」を決めています。前提として、「使うのに必要な手数料より少ない金額のUTXOは非経済的であり、正当な使い道はない」という発想があります。(使おうとするとむしろマイナスになる!)

アドレス形式 ダストリミット(sats)
P2PKH (1~) 546
P2SH (3~) 540
P2WPKH (bc1q~) 294
P2WSH (bc1q~) 330
P2TR (bc1p~) 330

そして実際のところ、ダストリミットより少ない金額のトランザクション、例えば0 satsや1 satsのUTXOはかなり少ないです。1 satのものに関してはOrdinals関連で存在することにはしますが、0 satのものは2023年12月に安土さんが調べた記事によると1.5万個ほどのようです。

レイヤー2プロトコルの実装に役立つ「Pay to Anchor(P2A)」とは?
最近はビットコインの手数料相場が低めで推移しているため、送金が詰まってしまったという方は少ないかもしれません。しかし、ギリギリの送金手数料でトランザクションを配信した後、手数料相場が上昇してしまって送金が取り残されるという経験をしたことがあるビットコイナーは多いはずです。 個人の送金であれば、同じトランザクションの手数料を増やして再配信することができます。このReplace-by-feeという挙動が既定になって数年が経ちました。 Bitcoin Core 24.0からのFull RBF既定化についての議論まとめこの1週間ほど世間の話題はFTXの信用不安問題で持ちきりですが、ビットコイン開発者の多くは全然違う論争に巻き込まれていました。Bitcoin Coreの次期リリースである24.0において、ノードのポリシーとしてFull RBF (mempoolfullrbf)というものが導入される予定のところ、これに反対する意見が出たためです。 結果的には導入継続という流れになりましたが、このように誰でも意見・議論できることがビットコイン開発における健全性維持の1つの仕組みです。 それでは議

Pay to Anchorは0 satのアウトプットを、セットとして提出する次のトランザクションで消費することを条件にポリシールール内で有効と認める進展

なぜクソデカOP_Returnはそれなりに存在するのに、同じくポリシールール違反であるダスト未満のUTXOは少ないのでしょう?今日はその理由を考え、OP_Return同様に迂回することができるこのルールも緩和すべきなのか考えてみます。

・コンセンサスルール、ポリシールールよりも強力な「第ゼロの関門」

・ダストリミットの存在意義とOP_Returnの関係

・こちらのほうが開発者の間で意見が分かれそうな予感

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