ここ半年の間、ビットコイナーの間で(何の生産性もない)議論を巻き起こしているOP_Returnに関するポリシールール緩和ですが、緩和する理由としてもはやポリシールールの既定値に関わらず迂回されてしまっていること、迂回のためのインフラがビットコインの公平性を歪めたり(マイニングの中央集権化につながる)使い勝手を悪くする(手数料推定の正確性を毀損する)ことが挙げられます。これを元に緩和してしまったほうが良いというのがBitcoin Core開発陣の多数の判断です。
さて、ポリシールールには色々ありますが、その中の1つにダストリミットがあります。これはトランザクション出力について、アドレスタイプごとに「最小金額」を決めています。前提として、「使うのに必要な手数料より少ない金額のUTXOは非経済的であり、正当な使い道はない」という発想があります。(使おうとするとむしろマイナスになる!)
アドレス形式 | ダストリミット(sats) |
---|---|
P2PKH (1~) | 546 |
P2SH (3~) | 540 |
P2WPKH (bc1q~) | 294 |
P2WSH (bc1q~) | 330 |
P2TR (bc1p~) | 330 |
そして実際のところ、ダストリミットより少ない金額のトランザクション、例えば0 satsや1 satsのUTXOはかなり少ないです。1 satのものに関してはOrdinals関連で存在することにはしますが、0 satのものは2023年12月に安土さんが調べた記事によると1.5万個ほどのようです。
Pay to Anchorは0 satのアウトプットを、セットとして提出する次のトランザクションで消費することを条件にポリシールール内で有効と認める進展
なぜクソデカOP_Returnはそれなりに存在するのに、同じくポリシールール違反であるダスト未満のUTXOは少ないのでしょう?今日はその理由を考え、OP_Return同様に迂回することができるこのルールも緩和すべきなのか考えてみます。
・コンセンサスルール、ポリシールールよりも強力な「第ゼロの関門」
・ダストリミットの存在意義とOP_Returnの関係
・こちらのほうが開発者の間で意見が分かれそうな予感