2024年6月3日 5 min read

Vol.262 DMMハッキング事件の意外な影響:ビットコイン価格を押し上げる(2024/06/03)

Vol.262 DMMハッキング事件の意外な影響:ビットコイン価格を押し上げる(2024/06/03)

こんにちは。先週、DMMから約4,500 BTCが流出したニュースは、多くの人にとって衝撃的なできごとでした。取引所からのビットコイン流出は、暗号通貨への不安を招き、価格の下落は免れないと考える人もいるようです。

しかし、今回の記事では、少し違った視点から、DMMのハッキング事件がビットコイン価格の上昇につながる可能性を提示してみたいと思います。

先に結論を書いてしまえば、犯人がビットコインを現金化する速度よりも、DMM社がユーザーへの補填のために市場から買い付ける速度のほうが圧倒的に早いということです。

この考え方は、筆者の主観も含まれていますから、「こんな見方もあるのだな」くらいの気持ちで読んでいただければ幸いです。物事を多角的に見ることで、新しい発見が得られるかもしれません。

それでは、早速本題に入っていきましょう。

盗難ビットコインの現金化は難易度が高く時間もかかる ~ BitFinex事件からの学び

今回のDMMハッキング事件、特筆すべきは流出がビットコインである点でしょう。

おなじ流出をするとしても、アルトコインとビットコインとでは世界の注目度もまったく異なります。

ビットコインの動きを追跡するツールには洗練されたものがたくさんあり、犯人の挙動は世界中の誰もが簡単に監視することができてしまいます。

これらの影響が形となったのが、2016年に発生したBitFinex事件です。

約12万BTCがハッキングの被害にあった事件で、当時の価値は約7,100万ドルに相当します。Bitfinexは顧客に対し、盗難額の36%を自己資金で補償すると発表しました。

その後、犯人の追跡は難航しましたが、2022年2月に米国司法省は盗まれたビットコインのほとんどを押収。ロンダリングに関与したとしてイリヤ・リヒテンシュタインとヘザー・モーガンを逮捕しました。

以下のチャートは、米司法省が公開した図です。複雑な経路をたどり、最後に犯人自らのアカウントに紐づいている様子が見て取れます。

↑ 複数の中間経路を経て犯人名義のアカウントにBTCが還流する様子(米司法省)

stice.gov/opa/press-release/file/1470211/dl

これを見ても分かる通り、どれだけ犯人が足跡を消そうとしても、多額のビットコインを移動させる限り何らかの足跡は残ってしまうのです。

結局、ハッキングから6年後の2022年に司法省が押収した9.6万BTCは、盗んだ数量の8割に登ります。大部分が現金化できなかったということですね。

ハッキングで獲得されたビットコインの現金化は難易度が高く、長い時間が必要。それでも尻尾を掴まれてしまう可能性も大きいのです。

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