ビットコインが4万ドルの大台を取り戻しました 🚀。下のチャートは2023年開始からの騰落率が151%に達したことを表しています。つまり2.5倍の値上がりですね。
保有を続けてこられたみなさん、おめでとうございます!
米国と中国の大規模な資金注入が、ビットコインはもとより、米国株や貴金属などの値上がりを後押ししているようです。
さらに「📈 Vol.227 🪙 ビットコインの動きは銅価格がヒント?(2023年9月25日)」で言及した銅も、力強く上昇しています。
こうなると、インフレ懸念が頭をもたげてきます。
米国の消費者物価指数は、前年比伸び率が3%台まで鈍化しています。しかし、単に上昇ペースが緩やかになっただけで、インフレそのものが収まった訳ではありません。
2000年以降、国家がデフォルトする理由は「インフレ」が主因となっています。ビットコインという無国籍な通貨を考える以上、反対側にある「国」がデフォルトする様相の移り変わりも把握しておきたいところです。
本記事では、国家デフォルトの主因が変わりつつある様子を確認したいと思います。
国家デフォルトの理由は戦争からインフレへ
国家が借りた金を返せなくなるデフォルトについては、以下の研究が有名かもしれません。
THIS TIME IS DIFFERENT: A PANORAMIC VIEW OF EIGHT CENTURIES OF FINANCIAL CRISES
この論文はビットコイン誕生の前年、米国のサブプライム問題が沸騰した2008年3月に発表されています。筆者はよほど既存金融に愛想を尽かしたのでしょう。8世紀におよぶ銀行危機、インフレーション、通貨暴落などをテーマに深掘りをしています。
このなかに国家のデフォルト原因の項があるのですが、たとえばスペインなどは以下のようになります。
- 1557年:イタリア戦争による財政難
- 1575年:アルマダの海戦による財政難
- 1647年:オランダ独立戦争による財政難
- 1661年:スペイン継承戦争による財政難
- 1713年:ユトレヒト条約による財政難(スペイン継承戦争の講和条約)
- 1759年:七年戦争による財政難
- 1792年:フランス革命戦争による財政難
- 1808年:ナポレオン戦争による財政難
- 1820年:スペイン独立戦争による財政難
- 1836年:カルリスタ戦争による財政難
- 1868年:第一共和政による政治的混乱
- 1882年:キューバ独立戦争による財政難
12回デフォルトうち、11回が戦争によるものです。325年間に12回ですから、27年に1回のペースですね。
とはいえ時代は変わり、第2次世界大戦後はデフォルトの主因も、戦争からインフレーションへと移り変わっていきます。
下図の赤線はデフォルトした国の全体比率、青色は2割を超えるインフレを経験している国の全体比率です。
第2次世界大戦後は、インフレと外的デフォルトが同じ歩みとなっていることを著者は指摘しています。
「インフレと外的デフォルト」ドキュメント内11ページ
参考までに「外的デフォルト」を簡単に説明してみます。
これは外国から借りたお金の支払いができなくなることを意味しています。発生する流れは以下のような感じです。
インフレで国内通貨の価値が下がる → 輸入コストが上がる → 経済収支が悪化する → 外貨の準備高が減少する → 外国債務の返済ができなくなる → デフォルト