「ビットコインは1秒に1.5億テラハッシュしているのに、イーサリアムは1秒に600テラハッシュ程度だ。だからビットコインのほうが25万倍セキュアだ!」
あなたには、この主張のどこが間違っているかわかりますか?
マイニングを伴うProof of Work (PoW)というコンセンサスアルゴリズムを採用している仮想通貨について、その維持 (マイニング)にかかっているエネルギー量を比較したい場合があるかもしれません。しかし、比較したい仮想通貨のマイニングに使用されるアルゴリズムが互いに異なる場合は、秒間ハッシュレートで単純比較することはできません。
そこで、今日は異なるハッシュアルゴリズムを採用するPoW通貨間でハッシュレートを質的に比較するの2つの方法と、それぞれの長所・欠点を紹介します。
先月、Spotlightにもマイニング関連の試算記事を書きましたので、ご関心のある方はぜひ読んでみてください。
【新疆で停電という噂をポワソン回帰分析にかける】
https://spotlight.soy/detail?article_id=4k8r2at6v
ハッシュレートはアルゴリズムによって異なる
冒頭でも述べましたが、PoWを採用している通貨でもチェーンによって異なるハッシュアルゴリズムを使用している場合は単純比較できません。例えば現在のビットコインのハッシュレートは毎秒150エクサハッシュ (1.5億テラハッシュ)で、イーサリアムのハッシュレートは毎秒600テラハッシュと、ビットコインのほうが約25万倍ものハッシュレートを誇っています。
だからといって25万倍セキュアというわけではなく、これはそのまま比較しても意味のない数値です。マイニングの堅牢性にとって重要なのはコストや機材の代替可能性だと考えられています。
したがって異なるアルゴリズムを採用している通貨のマイニングの規模を比較するには少し工夫が必要です。今回はレンタル価格からハッシュあたり金額を割り出す方法と、最新機材のスペックからハッシュあたりエネルギー量を割り出す方法を紹介します。
ちなみに、アルゴリズムによってハードウェアの要件も異なります。例えば1回のハッシュに大量のメモリが必要なもの、1回のハッシュあたり計算量がとても大きくASIC化しにくい複雑なものなどがあり、それぞれに使用されるハードウェアにも特徴があります。なので、比較自体はどうしても簡易的なものとなってしまいますが、今回は「費用」「使用エネルギー量」というPoWの過程で消費されるリソースを比較します。