2022年4月6日 3 min read

Coldcardのファームウェア続編

こんにちは。AndGoのハードウェア担当の片山です。

前回までオープンソースのハードウェアウォレットのColdcard (https://coldcard.com/) について解析してきました。今回はソースコードをより深く解析してみましたのでその一部をご紹介します。Coldcardはオープンソースのハードウェアウォレットでありながら,セキュアエレメントが搭載されています。また,SDカードを経由してトランザクションデータをやりとりするといった特徴もあります。

COLDCARDのファームウェアの概要

Coldcardは主にMicroPythonで書かれています。マイコンのファームウェアは資源が限られていることもあり,フラッシュメモリも1MB程度であることがほとんどです。したがってバイナリサイズが小さくなり,しっかり最適化すれば高速に動作するC/C++で開発することが大半です。しかしC/C++は他の言語と比べるとどうしても生産性の面で劣りますし,一歩間違えると簡単にメモリを破壊してしまうなどの致命的なバグを発生しやすいです。Pythonであればコードも短くかけますし,メモリ管理についてもほとんど気にしなくても済みます。もちろん一般的なPythonがそのまま動作するわけではなく,MicroPythonというマイコン用にコンパイルしてくれるタイプのPythonが使用されています。

Coldcardの場合には動作テスト用にUNIX環境(といいながらもほぼMac)でもエミュレーターのように動かすことができ,前々回の記事でご紹介しました。マイコン用にはC言語で書かれたブートローダーとMicroPythonで書かれた本体という構成になっていますが,ハードウェア依存のブートローダーもPythonで書き換えたものが用意されており,これを使うとColdcardが無くても手元のPCでテストしてみることができ,MicroPythonの移植性の高さに驚きます。

GitHubのリポジトリ(https://github.com/Coldcard/firmware)を見てみると,stm32 と unix というディレクトリがそれぞれマイコン用,PC用のブートローダーが入っており,shareというディレクトリにPythonで書かれた共通するコードが入っています。

署名に関わる部分を探す

ウォレットの一番重要な機能はトランザクションに秘密鍵で署名をする部分です。どこで行われているか探してみます。Coldcardではトランザクションに署名しようとすると,”OK TO SEND?”というメッセージが出てきます(Fig. 1 [画像はhttps://youtu.be/tCOpEkaZ7y4 より])。これを手がかりに検索してみます。リポジトリ(https://github.com/Coldcard/firmware)を開き右上の検索窓に”OK TO SEND?”とダブルクォーテーションをつけて入力して検索してみましょう(Fig. 2)。すると3件ヒットします。3件のうち2件はtestingディレクトリのファイルですので検証用のコードで直接関係はありません。残るshared/auth.pyの478行目が実際に画面に表示している部分です。(2022/2/24時点のコミット(https://github.com/.../322c6e669c19421e77acc8eddb9d6623fa...)ですのでご覧になるタイミングによってわ変わるかもしれません。)

Fig. 1 [画像はhttps://youtu.be/tCOpEkaZ7y4 より

Fig. 2

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