2024年12月16日 8 min read

Vol.290 「ビットコイン過熱」トラップ - ETF時代に見直したい古参投資家の行動指標 (2024年12月16日)

Vol.290 「ビットコイン過熱」トラップ - ETF時代に見直したい古参投資家の行動指標 (2024年12月16日)

こんにちは!ビットコインの不思議な国へようこそ。

今回の記事では、ブロックチェーンの動きを追跡することで、ビットコインがどのように動いているのかを探っていきます。実は、この「動き」を観察することで、市場参加者の中でも大きな資本を動かしている参加者の財布の中身が見えてくるんです。

通常の金融市場では、大口の資金移動は一部の関係者しか把握できません。でもビットコインは違います。誰もが同じ情報にアクセスできる「パブリック」な台帳があるんです。いわゆる「ブロックチェーン」であり、情報に非対称性がないことは、画期的ですよね。

本日、特に注目したいのが「ビットコインデイズ・デストロイド(Bitcoin Days Destroyed)」という指標。

長期保有者がどれくらいコインを動かしているのかを示す、いわば「古参投資家の行動指標」とでも呼べるものです。

ただし、この指標には意外な落とし穴も。「加熱している!」と見える数値が、実は全然そうでもない...そんな興味深い発見もお話ししていきたいと思います。

それでは、ブロックチェーンの中に潜む、本当の需給状況を探る旅に出発しましょう!

古参投資家の行動指標「ビットコインデイズ・デストロイド」(CDD)

ビットコインの世界には、たくさんの「専門家」がいます。でも、誰が本当の核心を捉えて行動しているのでしょう?それを見分けるのは簡単ではありません。

ただし、一つ確かな判断基準があります。それは「時間」です。

ダーウィンの適者生存説のように、厳しい環境を生き抜くのは、その環境に最も適応した者だけ。ビットコイン市場でいえば、長期保有を実行できた参加者たちこそが、相場の荒波を乗り越えてきた「適者」といえるでしょう。

この長期保有者の動きを数値化したのが「ビットコインデイズ・デストロイド(CDD)」です。計算方法はシンプル。

  • 1BTCを100日間保有すれば → 100コインデイズが蓄積
  • そのコインが動くと → 100コインデイズが破壊(デストロイ)

つまり、より長く保有している人のビットコイン移動ほど、大きな重みを持つ指標なのです。

この指標を進化させ、年々増加するビットコインの供給量に対しての影響力を平準化するために登場したのが「Supply-Adjusted CDD」、供給量調整済みCDDと呼ばれるものです。

これにより、2012年も2024年も、同じ基準で市場の動きを比較できるようになりました。

長期保有者が利確に動く2000万の水準は要注意

この供給量調整済みCDDは、一般的に市場では以下のような目安で見られています:

  • 500万コインデイズ未満:日常的な取引レベル
  • 1000万コインデイズ超:相場の転換点の可能性
  • 2000万コインデイズ超:長期保有者は利確に動いている

少し現状を確認してみましょう。

↑2017年以降、2000万コインデイズを超えて2ヶ月ほどすると下げ相場に移行しているビットコイン(BGeometricsより)

上のチャートを見ると、2017年以降は2000万コインデイズに到達してから、確かにビットコインは下げ相場に移行していることが見て取れます。

特に興味深いのは、CDDが頂点に到達してから2ヶ月ほどの時間差をおいて、ビットコインの下落が始まっていることです。

上昇相場も後半となってくると、ビットコインの買い手は、高いレバレッジを使った投機的な参加者が多くを占めるようになります。

ブロックチェーンで追跡できるいわゆる現物を保有していた参加者は売却し、その買い手が投機組という構図になるわけです。

この持ち手の移転が2ヶ月ほどで行われ、一段落ついた頃から、それが値段に現れて下がり始めると言う事ですね。

このようにしてみると、表の値段だけでは見えてこない。大口保有者の動向がつかめるビットコインは、本当に情報格差の小さいアセットクラスだなと感心するばかりです。

オンチェーン分析に潜むトラップ

さてここまではビットコインのオンチェーン分析のベネフィットを書いてきました。では、これを直近の市場動向に改めてみるとどうでしょうか。

↑2023年5月28日に2000万を超えたCDD指標と、以降も上昇するビットコイン(BGeometricsより)

2023年5月28日にビットコイン頂上間近とされるCDD指標2000万超えを達成したのちも、ビットコイン価格は上昇を続けています。

一体何が起きているのでしょうか。この指標はもう役立たずになってしまったのでしょうか。ここからは個別の分析を行ってみたいと思います。

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