2022年9月12日 6 min read

Vol.174 暗号通貨は米国債のラストバイヤー ~ ”嫌われ者”から”救世主のお客様” へ急転回(2022年9月12日)

Vol.174 暗号通貨は米国債のラストバイヤー ~ ”嫌われ者”から”救世主のお客様” へ急転回(2022年9月12日)

ビットコイナーのみなさん、こんにちは。先週は後半にかけ米株もビットコインも巻き戻してきました。良いですね。

米中銀は、量的引き締めの速度を9月から倍速にギアを上げると表明していたこともあり、パウエルさん・ブレイナードさんの発言前には警戒感もピークをつけていた感があります。

ところが蓋を開けてみれば、FEDが供給する米ドル流動性(Vol.172号参照)は、市場予測と裏腹に増加。

表ではインフレ退治の旗を振りつつ、裏では米ドルの蛇口をそっと開けるというFEDの粋なはからいにより、見事なリバーサルを演じた先週でした。

さて、そんな米ドルに振り回されるなか冷静になると、暗号通貨が ”嫌われ者” から ”救世主のお客様” へと位置づけを変える地合いが整い始めている動きを見て取ることができます。

時間軸としては”結構な将来”というザックリした話にはなってしまうのですが、ちょっと興味深い発見をいたしましたので、こちらでシェアをさせていただきます。

世界の資金序列が変わる中でビットコインの位置づけも変わる

2022年も後半に差し掛かるなか、もし私自身が今年最大の構造変化を選ぶとするなら、やはりう「世界の序列が変わり始めた」に尽きそうな気がします。

今年3月には、クレディ・スイスの著名なアナリストである、ゾルタン氏が変化の提唱をしていました。一部だけ意訳して振り返っておきましょう。

--- 以下は意訳 ---

今世界が目にしている危機は、1971年にニクソン大統領がゴールドと米ドルの固定相場を止めた時と同じほどだ。この危機が終われば、米ドルは今より遥かに弱体化する。

ブレトンウッズ体制ではゴールドが価値の裏付けだったた。

ブレトンウッズⅡ(ニクソン・ショック後)では体制の内側にあるお金(凍結リスクのヘッジがない米国債)が。

そして今からのブレトンウッズⅢでは、体制の外側にあるお金(ゴールド現物やその他コモディティ)が価値の裏付けとなる。

ブレトンウッズⅡは体制内のお金で成り立っていたが、その土台はG7がロシアの外貨準備高を凍結したときに崩れ去ってしまったのだ。

https://www.credit-suisse.com/about-us-news/en/articles/news-and-expertise/we-are-witnessing-the-birth-of-a-new-world-monetary-order-202203.html

これまで、コストが安く安定して物資が流通していた世界秩序は、国同士が互いを信頼することで成り立っていました。

ロシアもウクライナに侵攻する中で、もちろん他国との摩擦は想定済みでしたでしょう。ですがプーチン氏は、(米国は信頼せずとも)ブレトン・ウッズ体制Ⅱに立脚した米ドルは、そこそこ信頼をしていたと考えることができそうです。

そうでなければ、海外に外貨準備を残したりしないですしね。

ところが西側諸国は、国際的な通貨の枠組みからロシアをはじき出す決断をしました。この瞬間、国同士が持っていた(最低限の)信頼で成り立っていた通貨制度が終わったというのが、ゾルタン氏のポイントにもなるでしょう。

貿易で獲得した米ドルは、いつ凍結されて使えなくなるかわからない危険な資産へと早変わり。絶対的であったブレトンウッズⅡな米ドルへの信頼が、急速に弱くなってしまったわけです。

では、どの国から、どの程度の信頼が消失したのか??各国の米ドルに対する気持ちを知るなら、お金の跡を追うのが早道でしょう。

いまでも米ドルを信頼しているのなら、米国債権を買うでしょうし、そうでなければ米国債の保有残高を減らすことを最優先にするはずです。

ということで、米ドル凍結事件の2022年2月から6月まで、国別の米国債保有残高の変化を調べてみました。

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