2024年以降、Web3の世界ではビットコインのナラティブに乗っかった「ビットコインL2ブーム」が継続しています。これまで様々な口実で草コインの存在を正当化してきたプロジェクトが、むしろ逆に草コインをダシにビットコインを「ステーキング」させるというトレンドです。2024年の振り返り記事にも書きました:
2024年の振り返り
早いものでもう2024年も末となりました。今年も恒例の振り返り記事を書こうと思います。 今年はビットコインが4回目の半減期を迎え、アメリカではマイクロストラテジーがおびただしい量のビットコインを購入していたり、トランプ次期大統領の当選にも深く関わった可能性があるなど、どんどんスケールの大きな話になってきました。それと同時に、「通貨」としてのナラティブが「資産」というナラティブの影に隠れてしまい、今後その認識の違いが規制面などでビットコインの本質的なアダプションにとって困難を招いてしまうおそれも少し感じてしまうほどとなっています。 そんな1年を通して印象的だった5つのテーマを振り返ります。なお、2024年初の予想の答え合わせは来年最初の記事で行います。 ・「ビットコインL2」ブームが爆発 ・ライトニングより手軽なレイヤー2の模索が進む ・Bitcoin Tokyo 2024カンファレンスが開催 ・アメリカの存在感がさらに増大
ステーキング機能自体の部分を担っているBabylonを除けば、このトレンドのプロジェクトの大半はただのLST(Liquid Staking Token=ステーキングしたBTCの預かり証)であり、そこにポイントを配ること、LSTをDefiで扱えること以外の利用価値はありません。後者も、トークンごとに扱える場所が異なったり流動性が分散したりして不便になっています。それでも、数万BTCという大量のビットコインがこれらのプロジェクトに預けられる背景には、「ビットコインを預けて草コインで利息・報酬・エアドロをもらう」という金融商品への需要があります。
当然ビットコインを預かっているだけのLSTの独自トークンに需要などなく、大半は配布されると即売られて価格が低迷していますが。
このトレンドの帰結はこれまでWeb3業界で何度も繰り返されてきたように、トークンの価値が長期低迷し、プロジェクトが放棄されて、開発者も投機家も別の新しいものに移っていくという展開でしょう。ビットコイン一強の時代が続くとすれば、次のナラティブ、次のプロジェクトの波も何かしらビットコインに関連するものでしょう。そこで、私はWeb3サイドから近づいてきている「ビットコインL2業界」と新鋭のスケーリング技術Arkの親和性に気づいてしまいました。
今日は再来年の「ビットコインL2ブーム」がArkを利用したものになると考えた理由と、予想される影響を説明します。
・Arkの概要と2大実装の特徴
・投機的需要との親和性
・本当のビットコインユーザーへの影響