日本の金融庁がバイナンスに警告を行ったり、英国がバイナンスに活動停止を求めるなど、だんだんとバイナンスへの包囲網がすすんでいます。
元々バイナンスは、米国からの追及をさけるために、米国ユーザーむけのBinance.usをつくるなどしていました。
しかし、それで責任を免れるわけではなく、やはりマネロンに使われている温床になっているということが証明されれば、米国ふくめ各国から追訴を受けることになりそうです。
さて、これに関係した質問をいただきましたので、回答します。
Q 「010 ブロックチェーンの発展の歴史(その2)」の中で、"Ethereumは例外で、金融以外で使われるようになると思います。というか、逆で、金融を切り捨てれば、Ethereumは生き残ると考えています。Ethereumの仕様上セキュリティが完全になることは将来もないと思いますので、金融的なスマートコントラクトの基盤としては結局、使われないのではと思います。"というコメントをされていました。結局この仕様は解決されたのでしょうか? Ethereumはメジャーバージョンアップも進んでいますが、金融サービスのプラットフォームという観点では今どのような状況なのかご意見いただけると幸いです。
まず、イーサリアムの仕様ですが、スマートコントラクトという仕組みからして、かならずバグが存在してしまいます。このレポートを書いた当時では、イーサリアムの金融利用というのは金融機関や証券会社が、プラットフォームとしてイーサリアムを利用するという話しがまことしやかに語られていた時期ですが、実際は、パブリックなイーサリアム上にこうした金融アプリケーションが構築されることはありませんでした。
理由は2つあって、スマートコントラクトの仕組み上、バグをつかれて金融機関のお金などが盗まれてしまってはダメなこと、そしてKYCやコンプライアンスなどの機能を実装するのが難しいことです。
結局金融機関は、ブロックチェーンの分散データベースとしての仕組みの部分だけを利用して、自社内でアプリをつくるという、いわゆる「プライベートチェーン」を志向します。しかし、まだそれも実現してないのはご存知のとおりです。
さて、しかしながらイーサリアムは、NFTなどの非金融利用よりも、Defiに火がつきました。Defiはいわば草コイン同士の金融でして、既存の金融機関とは全く違うところに別の金融システムを作ろうということであるわけです。そしてその仕組みにはイーサリアムが適切だったということになります。しかし、セキュリティの問題は解決は難しく、数々のDefiがハックされたり、運営者による持ち逃げなどが起きていることはご存知のとおりです。また、KYCなどの仕組みもありません。
さて、自由を謳歌しているDefiですが、いずれDefiにもマネロンなどの容疑が掛けられるようになるとおもいます。
中央集権型の取引所に当局の取締が向いていますが、取引所の規制がきびしくなるにつれて、Defiの需要が増してくるからです。
Defiはよく止められない、分散型であるから、マネロンなどの責任はないといわれます。ビットコインなどと一緒だと。
しかし、それは嘘です。Defiには明確な運営者が居ます。サービスのインターフェースを提供し、プロモーションし、トークンの発行元があるわけです。結局、米国などが本気になれば、それらの運営者たちが責任がないと言い切るのは難しくなってくるでしょう。私は、数年ほどで、Defiは雲行きが怪しくなってくると思います。
イーサリアム自体は責任はないですが、個々のDefiの運営者はあとあとになって法的リスクを背負うことになる可能性はいまから頭に入れておいたほうが良いでしょう。安易な金儲けは、結局最後には高くつきそうです。
エルサルバドルの真の狙いについて
さて、エルサルバトルにひきつづいて、パラグアイもビットコインを法定通貨にするという話しがでています。