2025年4月18日 6 min read

【続編】ステーブルコインはビットコインにとって「利便性向上の起爆剤」か、「歓迎されざる競合」か?2

先週の記事を出したあと、Nostrにビットコイン上のステーブルコインについて賛成派の意見を代弁する記事が出てきました。投稿者はAxiomというビットコインVCでパートナーを務めるAllen Farrington氏です。

https://habla.news/u/allen@nostriches.net/1744492662501

かなりの長文ですが、彼の主張の要点をまとめると:

①ビットコイナーが嫌がろうとも、投機以外で「クリプト業界」がPMFに到達したユースケースは価値の保存としてのビットコイン、エネルギー生産の収益改善としてのマイニング、そしてデジタルドルとしてのステーブルコインである。

②「ドル覇権を支持することは良くない」というビットコイナーの反論は特定の価値判断を押し付けるものである。むしろ、ステーブルコインは顧客資産のステーブルコイン発行者(そして米国債)への移転が伴うため、銀行の視点からすると部分準備銀行制度に対する攻撃に他ならない。ビットコイナーは部分準備銀行制度に反対すべきである。

③「ステーブルコインにブロックチェーンは不要」というビットコイナーの反論は事実かもしれないが、使ってはいけないわけでもない。たとえ原理的に愚かなことであっても、競争相手である銀行など法定通貨のDBと比べると圧倒的にユーザーにとって便利であることが価値訴求であり、それでPMFを達成している。オープンな決済インフラは発行体にとっても便利である。

④ただし、ビットコイナーの指摘自体は間違っていないため、世界の富がビットコインで測られ、決済の多くがビットコイン上で行われるようになったとき、ステーブルコインの発行はよりスケーラブルでビットコインに近いTaproot Assetsのようなレイヤー2プロトコルや、ブロックチェーンを必要とせずライトニングに接続できるEcashなどに置き換えられていく。

今回はこの記事を読みながら、彼の主張を分解し、改めてなぜビットコイン上のステーブルコインは好ましくないか、そしてどうやったら好ましくなるかを考えてみます。なお、①については同意を前提とします。

・ステーブルコインと準備銀行制度とビットコイナー

・ビットコイン上のステーブルコインは使いやすさで勝てるのか

・抜けているガバナンスへの影響力の観点

・Ecashの未来は明るい

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