暗号通貨を前提知識のない人に分かりやすく説明しようとする比喩として、以下のようなものが使われることがあります。
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○ ビットコインはゴールドに近しい
ビットコインは、2100万BTCの最大供給量が決まっており、発行量が増えることはありません。また中央集権的な管理者がいない分散型のネットワーク上で運用されています。そのため、政府が予算獲得のために資金を増刷し通貨価値が薄まる影響を受けにくく、価値の保存に適している点でゴールドに近しいと考えられています。
○ イーサリアムは原油に近い性格を持つ
イーサリアムは、スマートコントラクト等の実行可能性に基づく需要が大きく、原油のように経済活動の活況度に比例して需要も増加すると考えられます。また発行数に上限がないため、需要拡大に応じて柔軟に供給量を調整できる点も、どちらかと言えば原油に近いとされる理由の一つです。
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通常、こういうたとえ話は、実際のパフォーマンスを検証されることもありません。
ただ最近の市場を見ていると、まさに「イーサリアムに最大の影響を与えているのが原油」と見える事象が出始めています。
もちろん、この手の事象は単なる偶然かもしれず、翌年にはすっかり消えて無くなっているかもしれません。
それでも、やはり旬な動きには何かのヒントが埋まっているかもしれず、こちらでシェアをしてみたいと思います。
圧倒的な逆相関を示す原油とイーサリアム
似たような資産同士であれば、お互いの価格形成に影響を与えることに説得力があります。
たとえばゴールドとシルバーなどは貴金属同士ですから、相関しやすい特徴があります。またビットコインとイーサリアムなどは暗号通貨のツートップとして近しい関係にあります。
その一方で、「風が吹けば桶屋が儲かる」とでも言いたくなるような遠い関係でも、なぜか近しい動きをしてしまうことがあります。
これを数値に置き換える簡単な方法としては、相関係数が挙げられます。
数字が1に近づくほど似た動きを、-1に近づくほど正反対に動いていることを表します。逆に0に近づくほど、動きには何の脈絡もないことを示します。
事例として、直近50日間の相関関係をメジャーどころから確認してみましょう。
比較対象は、ビットコイン・イーサリアム・ドージコイン・ゴールド・半導体指数・原油・ユーロドル・SP500・日経平均・銅の順で並べています。
ちょっと自分も目を疑ったのですが、イーサリアムの(逆)相関度がもっとも高かったのは、(暗号通貨であるBTCとDOGEをのぞき)原油との結果が出ています。
もともと原油は、他のファンダメンタルズに影響を及ぼす側ですから、一人逆相関で突っ走ることまでは分かります(原油の枠だけ逆相関が並んでいます)。
ただイーサリアムとここまで相関が強いのは意外でした。試しに原油(USOIL)を上下に反転させたものと並べてみます。
ローソク足がイーサリアム、折れ線グラフが原油を上下に反転させたもの。下段のインジケータが相関係数の推移となっています。見た感じ、今年の8月頃から逆相関が加速していますね。
つまり、原油が下がればイーサリアムが上がる(逆もまたしかり)・・・ということです。
無理に理由を探すのであれば、原油とともにガソリン価格が下落しているから、米国の個人もお金に余裕ができ暗号通貨を買いに向かったという事でしょうか?いや、無理がありますね。。。
イーサリアムはPOWからPOSへと切り替わっていますから、電気代の有無で何か価格動向に変化が出るとも思えません。
結論として、単なる偶然と考えておいた方が安全なのでしょう。
とはいえ、原油を上下に反転させた逆数とイーサリアムの乖離を確認すると、2023年に乖離が最大となったポイントは、天井と底値になっています。
こういう偶然は年が変わるまで続いたりします。少しの間ではありますが、原油とイーサの関係も見ておいてやると、何かのヒントになるかもしれませんね。
まとめ
今回の記事では、イーサリアムと原油が直近で強い逆相関を示しているデータを出してみました。普段であれば相関がないと考えられる2者ですが、特に2022年8月以降、原油価格が下がればイーサリアムの価格は上がる傾向が顕著に表れています。
相関の理由が明白ではなく、偶然の産物である可能性が高いです。ただし市場の変化が激しい時期に逆相関が強まっていることから、何か動き出しの予兆を捉える参考材料にはなるかもしれません。
今後も引き続き動向を注視し、タイムリーにシェアをさせて頂きたいと思います。
それでは今週はこの辺で。引き続き、ハッピー・ビットコイン!
ココスタ
佐々木徹