2022年12月27日 6 min read

Vol.189 ビットコイン2023年を予測する(後編)|インフレ → 決済 → 半減期(2022年12月26日)

Vol.189 ビットコイン2023年を予測する(後編)|インフレ → 決済 → 半減期(2022年12月26日)

前編では2023年のビットコイン予測として、以下のようなポイントを列挙してみました。

  • 買い手の不在は2023年も続く
  • 底値は2023年3月ころと織り込む市場
  • ビットコイン「半減期」が意識され始める

後編では、(ド外れになることを覚悟の上で)価格動向に触れて行きたいと思います。ではもう言い訳なしで早速進めていきましょう!

まずはグラフィカルに確認

いきなりチャートですか?と突っ込みが入りそうですが、しかしながら一番多くの市場参加者が見る材料でもあります。

市場が何を見ているのかを知るためにも、確認をしておきましょう。

https://www.tradingview.com/x/Aw0uAicY/

過去の動きを見る限り、半減期を挟んで下のような動きが繰り返されています。

  • 半減期前: 1年ほど前から緩やかな上昇を始める
  • 半減期: 値動き無く横ばいで通過する
  • 半減期後: 徐々に底値を切り上げ

そして半減期入りした価格を起点として、最高値へと1年程度で到達。上昇率は、2013年が7700%、2017年が2700%、2021年が560%へと縮小しています。

2024年の半減期からの上昇率は2021年の2割程度と仮定すると、110%程度の上昇率を記録するかもしれません。

到達するビットコイン価格は82,000ドル。おとなしめですが、規模も参加者も大きくなったビットコインらしい動きと言えるのではないでしょうか?

米国原油発のインフレが来る

さて次にビットコインへ強く影響するインフレについて考えておきましょう。

2022年12月23日に発表されたミシガン大学の消費者聞き取り調査では、期待されるインフレ率がこの12ヶ月で最低となりました。

住宅の賃料や給与動向ではインフレが根強く残っています。それでも、世の中のセンチメントとしては物価の下落基調が既定路線となり始めているようです。

ですが、これも短命に終わってしまうかもしれません。理由の一つは、原油価格が下支えされるレベルに到達をしていることです。

なぜそんなことが言えるのでしょうか?ヒントは米国にあります。

原油のスポット価格が80ドルを超えてきた2021年10月から、米国は「いざという時のため」に積んである国家戦略備蓄(SPR)を取り崩し、市中へ供給する飛び道具を使いました。

2022年9月の米国中間選挙は目前。得票率とガソリン代とは逆相関になるため、原油価格の押し下げはバイデン大統領にとって最重要課題だったからです。

上の図はSPR戦略在庫の前週比とWTI原油価格。2022年9月9日週の840万バレル放出は、統計が遡れる1982年以降で前人未踏の最大値となっています。

なお2008年7月にも原油価格は120ドルを突破していますが、そのときSPR在庫には手を付けていません。つまりバイデン大統領は、明らかに禁じ手を使ってしまったことが分かります。

では今から起きることは?それは減ったSPR備蓄在庫を積む、つまり「米政府が原油を買う」ことになります。

いくらで?ホワイトハウス声明では、67ドルから$72ドルでの指し値。受け渡しは2024年~2025年と明言しています。

FACT SHEET: President Biden to Announce New Actions to Strengthen U.S. Energy Security, Encourage Production, and Bring Down Costs

https://www.whitehouse.gov/briefing-room/statements-releases/2022/10/18/fact-sheet-president-biden-to-announce-new-actions-to-strengthen-u-s-energy-security-encourage-production-and-bring-down-costs/

以下は2024年6月渡しのWTI原油チャートに、67ドル~72ドルの価格帯にハイライトを入れたものです。

https://www.tradingview.com/x/mRaZyIty/
米国政府の買い指値に反応しまくり。つまりインフレを退治すべき米国政府は、原油価格を公開で買い支えているのです。

しかも今のSPR在庫量からすれば、3億バレルほど買い付ける必要があります。ロシアの原油生産量は、日量で1,000万バレルと推定されていますから、ロシア産の原油を全量30日間買い続けるほどのインフレ貢献度があります。

原油が上がれば、電気代も燃料費も住宅コストも輸送費も、何もかも値段が上がります。つまりインフレです。

2021年から2022年のビットコインは、「期待インフレ率5年が3%を超えた期間に利確」 が一番の安定でした。ということは、同じ指標が2%を割り込んだ期間に買われる。そんな見方も今後はちらほらと出てくるのではないでしょうか。

ゴールドじゃ足りない・動かせない → ビットコインへ

さて本年話題をさらったアナリストといえば、クレディスイス(こっちも話題をさらってますね)のZoltan Pozsar氏

本年12月には、以下のような分析を出しています。

「ロシアが原油の販売と引き換えにゴールドを受け付けるようになれば、ゴールド価格は2倍の3,600ドルに到達する」

If Russia accepts gold for oil, gold price doubles to $3,600, says Credit Suisse's Zoltan Pozsar

https://www.kitco.com/news/2022-12-07/If-Russia-accepts-gold-for-oil-gold-price-doubles-to-3-600-says-Credit-Suisse-s-Zoltan-Pozsar.html

もし本当に「そんなこと」が起きるのであれば、以下のようなことが起きそうです。

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