トレーダーによる、トレーダーのための取引所・・・それがFTXです。
FTX is a cryptocurrency exchange built by traders, for traders.
高邁な理想を掲げるとともに、ボラティリティ先物や自動取引ツールの提供など、ユニークな施策を次々に打ち出した同社は急速に利用者を獲得。
2020年からは競合他社が規制の網に勢いをそがれる中、新興勢力の強みを生かしBinaceに次ぐ2番手にまで上り詰めました。(BitMexは米国法逃れで創業者が告発され、また中国大手OKExは公安に逮捕され出金停止措置。いずれもFTXへ利用者が流出)
そんな上昇著しいFTXの破産ショックは、市場に計り知れないダメージを与えています。
FTX破綻で取引所からの出金が過去最大規模に
FTTトークンの下落に端を発したFTX破綻劇は、坂を転がるように進みました。
Binanceによる救済可能性は24時間で消失。他の取引所へも買収の打診が行われるも素通りし、最終的には米国でチャプター11の適用を申請済み。
この影響で同社に資産を預けていたレンディングのBlockFiも出金を停止。
今後もファンドや取引所などFTX社で運用していた会社が連鎖的に引き出しを停止する恐れを市場は警戒。一気に取引所からの出金が加速をしています。
以下はCryptoQuant社の統計。取引所からの出金量を7日平均した数字をみると、同社履歴の中で過去最大となっています。
https://cryptoquant.com より
今までは「取引所からの出金=現物の長期保有=ポジティブ」というのが一般的な評価でした。
それが今は「取引所からの出金=市場の連鎖倒産警戒=取り付け騒ぎの可能性上昇」となっています。
米国の中間選挙が終わり、金利上昇も一段落との期待感が市場に漂い始めた鼻先で炸裂したFTX事件。
涼しい顔で上昇する米株指数を眺めつつ急増する出庫は、ふたたびビットコインを下落専用機へとたたき落としてしまうのでしょうか?
まずは状況だけ確認しておきましょう。
FTX日本法人の預かり残高からみるXRP支持率の高さ
日本のFTX法人公式ツイートによれば、顧客資産は十分な金額が分別管理されているとのこと。
すでに日本円での返金は実行をされているとの報も見聞きします。ここから暗号通貨の返金も実行に移されるなら、顧客資金の分離を徹底した金融庁の評価は、一気にうなぎ登り確定でしょう。
もともとビットコインは、中央集権から離脱するための選択肢を原点としています。もし日本の顧客資金が中央集権たる金融庁の施策で救われるのなら、それは喜ぶべきこと。
ですがビットコインの成り立ちとは相反するのも事実。そう考えれば、まだ今の人類に本当の暗号通貨は早すぎるということなのでしょうか?
さてFTX社が公開した顧客預かり資産リスト。なかなか取引所がコイン別の預かり残高を公開することは無いので、1つの貴重な情報として数字を分析してみました。
参考にしたデータ:FTX日本 ~ 暗号資産の管理状況について(2022年11月11日現在)
https://help-jp.ftx.com/hc/ja/articles/12458835958681
表は左から順に、FTX日本のコイン別預かり残高・同コールドウォレット残高・余剰残高・余剰残高比率・各コインの円価格(2022年11月14日現在)、円建ての預かり残高額、預かり残高に占める占有率(残高比率)となります。
注目すべきは残高比率でしょうか。試しに残高比率の高いBTC/ETH/XRPに関して、市場全体のドミナンス(コインマーケットキャップ調べ)と比較してみました。
世界市場と比較すると、XRP残高が突出しているようですね。
先物主導で売り込まれるビットコイン
さてここからは、少しビットコインの市況を確認しておきましょう。
今の市場を見渡してみると、ビットコインは投機主導で売り込まれていることが分かります。
たとえばCMEビットコイン先物市場は、2017年12月に上場されてから初の事態に陥っています。