ビットコインはタイムスリップして、2015年に戻ったような動きに終止していますね。
マウントゴックスのGOX前につけた1,100ドル超から崩れた市場は、いつ画面を見ても240ドル。100倍すれば今の動きと合致するようなイメージです。
ただ、市場はどちらかというと悲観的な見方も多いようです。Crypto Quant社が発行しているレポートでは、以下のような指摘がありました。
Current crypto market is like ‘squeeze water out of a dry towel’ 2022年10月9日
記事のトーンとしては、高いレバレッジに加えて大口比率(クジラ比率)が高くなっており、急落の危険性がある、、、というものです。
急落になるかどうかは別として、やはり内部の動向には変化を見て取ることが出来ます。
こちらの記事で、いくつか気づいたことをシェアさせていただけたら幸いです。では早速みていきましょう!
① 減少するマイナーからのBTC送金
こちらは関連マイナーから取引所へ送金されたコイン数の平均値。数字が跳ねれば、現物売り主導で値段が下がりやすくなることがあります。
7日間の直近の数字を見る限り、2020年1月以降での最低レベルまで下落。この数字が正しいのであれば、マイナーは現物を送金していない=売っていないと言えそうです。
② メモリープールが跳ねても値が下がらない
次にビットコインのメモリプール動向をみておきましょう。
ビットコインの現物を保有する参加者が一斉に売却へと動く時、送金が集中し処理が追いつかず、メモリプールの残高が跳ねることがあります。
この1週間ほど、メモリプールが上昇すると値が下がったり、値が下がるとパニック売りからメモリープールが上昇したりの動きを見せています。メモリプールと値下がりとが、お互い助け合っているような感じですね。
ちょっとした変化としては、10月13日にはメモリープールが跳ねましたが、値下がりは起きていないことでしょうか。これは送金が集中したというより、単純にビットコインのブロック生成が突如1.5時間へと遅延したことによるものです。
ビットコインのブロックは、平均すれば通常時に10分程度の時間で生成されます。ですから生成時間が長くなれば、その分、未処理の取引量も増えます。
とここまで書いていたら、遅延ブロックが記事になっているのを発見しました。
Bitcoin Fails to Produce 1 Block for Over an Hour
地合いが弱い時は、遅延ブロックが出た直後から値が下がったりすることもあります。逆にドン下げなしで18日に入るようなら、地合いの強さを逆証明(弱い指標でも値が下がらない=強い)することになるかもしれません。
● 荒れ狂うレバレッジ比率
こちらはデリバティブ市場の参加者が「どの程度のレバレッジで取引をしているのか」を表したものです。
上の図はByBit、どちらかといえば投機的な取引を好む参加者に人気の高い取引所のレバレッジ比率です。
足元で2.4倍をヒットしているわけですが、この水準は2020年と同様のレベルとなっており、過去3回とも値上がりの起点となっていることがわかります。
たとえば2020年7月。このときビットコインは1万ドルの壁に押し戻され墜落するという売手の思惑で、ペーパー主導の売りがレバレッジ比率を押し上げていました。
ところが結果は、米国のドルが市場に大量投下され、あふれる法定通貨でビットコインは底上げされることに。結果、高いレバレッジで売り込んでいたプレイヤーは買い戻しを迫られ、上昇相場を後押しします。
その過程で、レバレッジ比率が下がりつつ値段が跳ね上がっている様子が見て取れると思います。
今回も同じになるかは分かりませんが、2.4倍のレバレッジ比率は、なにかのトリガーを引く水準とも言えそうです。
○ まとめてみると、弱気は払拭されつつある
以下、簡単にまとめておきましょう。
値段を強く押し下げる現物売りの主役である採掘者は、現物を売っていない →→→ ビットコインにはポジティブ
小規模な現物送金は確認されているが、(今のところ)売り圧力は吸収されている →→→ 市場の底堅さを表している
ハイレバレッジな取引を手掛けるペーパーマネーは、高いレバレッジ比率で売り込んでいる →→→ 買い戻し主導の上昇が近いかもしれない
ということになります。
もちろん米国の金融政策は利上げ上等。バイデン政権は11月8日に中間選挙を控え、何が何でもガソリン代を下げて支持率を稼ぐことに余念がありません。
OPEC+が減産を実行すれば、さらに利上げでガソリン代を下げようとするのは、自明の理。リスク資産には逆風というのが、表向きの見方にはなるでしょう。
ところが米国が利上げバンザイを継続していると、周りの国がパンクします。大英帝国が誇る英国債権は既に投げ売りされ、英国中銀が買い支えを余儀なくされました。
システム崩壊を避けるため、一時的に緩和で受け身を取るしかなかったわけです。
ですが投げ売りされた債権を買いたいと思う参加者もおらず、結局は以下のような報道が流れてきました。
ビットコインのハッシュレートは、英国債の下落(金利は上昇)と歩調を合わせるように、過去最大を突破しています。
もちろん、半導体の売れ行きが悪化する中で、ASICの未処理受注分が一気に出荷されてハッシュレートがスパイクしたという点はあるかもしれません。
ただ、ここで上げた数字(ハッシュレートや英国30年金利&レバレッジ比率やメモリプール)は、だれでも無料で遅延なく見ることができます。
全体をつないでいくと、今のビットコインに過大な下落バイアスを乗せるのはコスパが悪いと判断する参加者が増えることも否定はできない状況といえそうです。
さて、最後はビットコインの建玉動向の定点観測をしておきましょう。