米大統領候補のドナルド・トランプ氏が選挙集会中に銃撃を受け、右耳を銃弾が貫通するという事件が発生しました。わずか数センチの差で致命傷となっていた事件でしたが、幸いにもトランプ氏の命に別状はありませんでした。
もともと暗号通貨に友好的な姿勢を示していたトランプ氏は、この事件を受けて当選確率を急速に伸ばしています。そこで本記事では、この事件がビットコインに与える影響を考察していきたいと思います。
前を向いていたら致命傷だった
まずトランプ氏が狙撃された状況を確認しておきましょう。下の図は、フォックスニュースで提示されていた狙撃犯の場所と、スピーチ場所の全体像です。
トランプ氏は図中、左側前方に位置する聴衆に向けて頭を左右に振りつつ演説するなか、狙撃の瞬間は右を向いていました。
つまり、狙撃犯と正対する状態で狙撃を受け、結果的に右耳を弾丸が貫通したわけです。もしトランプ氏が聴衆の側(正面)を向いていたなら、おそらく右側頭部に着弾し、小脳へ到達していた可能性が高いです。
完全に致死傷となりうる事故を回避できラッキーだったと言うべきか、それとも大統領の立ち位置から130メートルの近距離にあるビルに立ち入り規制が行われていなかったことが責められるべきなのか。まだまだ流動的な現状です。
それでも、わずか数センチの差で命を落とさなかったトランプ氏の強運を私達は目の当たりにすることとなりました。正直に言えば、筆者も、これには偶然で割り切れない強さを感じてしまいました。
ビットコインとトランプ氏の当選確率は上昇で反応
さて、この事件を受けてビットコインは上昇で反応しています。
同時に、トランプ氏の当選に賭けるトークン価格も上昇を続けています。以下はコインデスク記事の要点です。
- 事件後、予測市場Polymarketでトランプ氏の勝利確率が70%に跳ね上がった
- トランプ関連の「PoliFi」ミームトークン(MAGA, TREMPなど)の価格が急上昇
- 従来の予測市場PredictItでも、トランプ氏の勝利確率が上昇した
- トランプ氏は選挙運動中に暗号通貨への強い支持を表明している
- 予測市場は、世論調査や専門家の意見よりも信頼性が高いとされている
銃撃事件は大統領選の投票率を押し上げるかもしれない
今回の銃撃事件を受けて、あなたは何を思い出しましたか?銃撃事件はいたるところで起きていますね。
筆者の場合ですが、真っ先に思い出したのは、Brexit(英国のEU離脱)の国民投票直前に起きた事件でした。
2016年6月16日、労働党の国会議員ジョー・コックスが、イングランド北部の選挙区の有権者と面会中に銃撃され、刺殺されました。極右思想を持った犯人は、英国第一!と叫びながら攻撃を行ったそうです。
では離脱派が犯行に及んだからといって、世論が残留に傾いたかといえば、その影響はほとんど無視できる範囲に終わりました。
それよりも、投票率がとても高くなったことが特筆すべき点だったと言えます。
英国の総選挙の投票率は、2015年から2019年を通して67%程度でした。これに対してBrexit国民投票の投票率は72.2%ですから、およそ5%も高くなっています。
おそらく今回の米大統領選挙も、トランプ氏銃撃事件を受けて従来よりも投票率が高くなるのではないでしょうか?
では仮に米国の大統領選で投票率が高く出た場合、ビットコインにはどのような影響が考えられるのかを考えていきましょう。
高い投票率はビットコインに有利に働く
米国の選挙と暗号通貨の関係については、BitMex創業者のアーサー・ヘイズ氏がブログ記事「Hot Chick」内で言及をしています。いくつかポイントを抜粋してみますね。
- 暗号通貨の保有者(約5000万人)は選挙結果を左右できるだけの数になっている
- トランプ氏の暗号通貨支持姿勢は単なる選挙戦略、当選後は手のひらを返す
- よって暗号通貨支持者は、選挙前に具体的な法案の成立を要求すべきである
- 暗号通貨支持者の票で下院48、上院9、大統領選115人の選挙人を得られる
- この戦略は非党派的であり、どちらの政党が勝つかは重要ではない