もし人類の目的が地球上での生存可能性を上げることにあるのであれば、日本は今のまま変わらなくて良いということを書いてみたいと思います!
生存戦略には「異なる価値観」が必要
筆者には今年から大学に通う娘がいます。そして毎日が、家庭内ジェネレーションギャップです。
Z世代と呼ばれる2000年代生まれの娘は、背伸びしたリスクを取りに行くことがありません。
でも自分の実力は正しく把握していて、ギリギリ届くところに目標を置くんですよね。
大学の受験で英検があると有利だからと、高校3年生の夏には準一級の合格を決め、スコアの足りなかった社会系も冬からスタートして合格圏に仕上げてきます。
結局、時間切れを心配する親を横目にスルスルと第一希望の大学に合格してしまい、終わってみればあっけない幕切れです、受験代の請求書を除いては(受験代マジ高い!)。。。
団塊ジュニア世代の自分から見ると、「余力あるなら上を目指せよ!」とか思ってしまうこともあります。でも、そうじゃないんですよね。
もし世の中に天変地異でも起こったりすれば、無駄なリスクを避け、体力や精神リソースを温存し、それらを達成できる目標に絞って効率的に配分していくスキルこそ、人類の生存戦略に欠かせない能力になったりするはずです。
これと同じように、変化への適応がスローと認識されている日本こそ、人類の生存可能性を高めるキープレイヤーなのかもしれません。
日本人の性格は「不確実性の回避」が突出して高い
私たちは国家という枠の中で生きていますから、ある程度は国ごとの個性も異なってきます。
この特性を数値化した研究の中でも、特に有名なのがオランダの社会心理学者ホフステードによるリサーチで、以下6つの次元から国民文化の特性を分析しています。
①権力格差 (Power Distance)
②個人主義の度合い (Individualism
③目標達成と成功へのこだわり (Motivation towards Achievement and Success)
④不確実性の回避度合い (Uncertainty Avoidance)
⑤長期志向 (Long Term Orientation)
⑥個人の欲求満足への許容度 (Indulgence)
この6次元を、おそらく現時点でカギを握るであろう国で比較をしてみました。
オレンジ色は中国、青はインド、紫は日本、緑が米国です。
なんだか、紫色の日本が③~⑤(目標達成・不確実性の回避・長期思考)が高く、特に他国との比較では、「④不確実性の回避」が日本は突出していることが分かります。
この理由として、ホフステードが挙げた点のいくつかを紹介してみます。
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本が世界で最も不確実性を避ける理由は、地震、(今や世界語の)津波、台風、火山の噴火など、自然災害の脅威に常にさらされていることに起因すると考えられています。
予測可能性を最大限に高めるために、何をするにも決まりごとがあると言えるでしょう。生まれてから死ぬまで、多くの儀式が存在します。毎年ほぼ同じ方法で行われる学年の始業式と終業式にくわえ、結婚式、葬式などです。重要な社交行事では、人々が何を着用し、どのように振る舞うべきかが、マナー本で詳細に規定されています。
学校の先生や公務員は、前例のないことを行うことを躊躇します。日本の企業では、プロジェクトを開始する前に、実現可能性の調査に多くの時間と労力が費やされ、すべてのリスク要因を洗い出す必要があります。
このような不確実性を避けたいという強い欲求が、日本で変化が実現しにくい理由の一つとなっています。
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確かにネットバンキングが主流のいまでも、地銀の一部は生産が終わったフロッピー・ディスクを使っているとか。
もうちょっと変わろうよ!
あと、日本は石油などの資源も他国に依存をしています。不確実な状況=資源が手に入らないかもしれない状況でもあります。
変化で得られるリターンと失うリスク(資源)とを比較すると、日本は海外にモノを売って稼ぐ国であるがゆえに、リスクの方が目の前に立ちはだかる問題であり、それが不確実性の回避に向かわせたのかもしれないですね。