さて、以前からStablecoinの最近のトレンドや、リスクや問題点などについてコラムにしたこともありましたが、とうとう少しづつ規制強化や禁止などの可能性を本格的に意識する必要が出てきそうです。
最新のステーブルコイン規制提言概要
数日前に、世界の中央銀行やG20に政策提言などを行う、Financial Stability Board(FSB)という組織が、特にStablecoinにフォーカスした新しい提言を公開し、その中でより厳格な規制、場合によってはステーブルコインの「禁止」の必要性を示唆しました。
この手の規制強化の提言は以前からあるものでそこまで驚きではないですが、今までと違う点があるとしたら、
- StablecoinsにフォーカスしてTetherやDaiなども具体的に意識し、より広範、厳しい規制の提言をしている
- 規制に沿えない場合、使用や発行の禁止(Prohibition)の示唆も含む
- Public Blockchains上のStablecoin(TetherやUSDC)だけでなく、MakerDAOなどの「DeFi」と呼ばれるStablecoinにも等しく規制の必要性を説いている
今回の提言の狙いとしては、公式的には今までから言われている通り、
- 国際金融システムの安定化
- 資金洗浄などの違法行為の取り締まり
などが挙げられていますが、本音としては今後中央銀行や政府がStablecoin(デジタル法定通貨)を自ら発行していく為の布石ともみなせると思います。
政府は本当にSTABLECOINやDEFIを規制、禁止できるのか?
ただし、このレポートではStablecoinの禁止が主眼に置かれているわけではありません。なのですぐにTetherやDaiなどが潰されたりするわけではないですが、禁止も辞さない、パブリックチェーン上だろうが、コンソーシアムチェーン上だろうがDeFiだろうがFiatに連動したデジタル通貨には全て等しく規制をかける姿勢を明確に提言したことの含みが大きそうです。
TetherやUSDCなど発行主体が明確に存在する法人などであれば発行の禁止や厳しい規制(KYC/AML、トランザクション監視など)は容易に出来ますが、MakerDAO/DaiなどのいわゆるDeFiと呼ばれる分散化されているとされるStablecoinも果たして政府は本当に規制出来るのでしょうか?
一言で言えば簡単に出来るでしょう。
すでに過去にコラムにもしたり、先日の価格クラッシュとDaiのペッグ崩壊やルール変更で明らかになった通り、MakerDAOは開発会社とVCなどの大量MKR保有者が簡単にルール変更やDaiの清算が出来てしまう状況ですし、その他のDeFiの多くもDaiに依存していたり、開発者が変更権限やKill switchなどを持っているものが多いです。