1年に渡り議論されてきて、一時はビットコイン存続の危機とまでいわれたハードフォーク問題が決着しました。香港で、マイナーとコア開発者が議論した会議で、将来のハードフォークを盛り込むことで決着をみました。ビットコインの将来に対しては大変すばらいニュースで、最大の懸念材料がクリアになったといえましょう。
今回は、この合意内容を詳細に解説するとともに、今後どういったスケジュールで物事が進むのかといったことについも解説したいと思います。また、いずれにせよハードフォークが行われるということで、この影響についても解説します。
また、最期に、用語も含んだ超初心者向けの解説も加えます。コアって何?ブロックサイズって何?レベルの質問に答えて、この話題が分かるようにしますので、ぜひお読みください。
非常にまずかいつまんで合意内容を要約すると、
- Segwitを4月にデプロイ。
- 7月に、将来のハードフォークを含んだコードをコア開発者が提案
- 来年の7月にハードフォーク実行
という感じです。ビットコインクラシックや、ビットコイン・アンリミテッドなどは、採用されないということになります。
さて、この会議ですが、サトシラウンドテーブルというもので、毎年、ビットコイン界のステークホルダーがあつまって、意見を交換する会です。開発者を始め、ビットコインビジネスに関わる取引所や、ウォレットや、加えてマイニングプールや、マイナーそのものも加わります。今回は、ハードフォークの鍵をにぎるハッシュパワーを持つ巨大マイニングプールの管理者と、主要なマイナーと、コア開発者の間で話された模様です。
<合意表明のメンバー>
合意声明のメンバーを主要なところだけ抜粋します。中国を中心に、マイニング系の主要メンバーが集ったと言えましょう。
- マイニングプール、
- ANTPOOL
- F2Pool
- マイニング機材、マイナー
- Genesis Mining
- Bitfury
- Bitmain
- 取引所
- Bitfinex
- Bit-X
- BTCC
- Huobi
- OK Coin
- その他
- Ledger Wallet
- Hao BTC
- コア開発者
<合意内容を項目別にレビュー>
さて、では、実際にこの声明の内容をより詳しく読んでいきましょう。声明文自体はそれほど長くないので、全文引用しつつ、解説を加えます
- We understand that SegWit continues to be developed actively as a soft-fork and is likely to proceed towards release over the next two months, as originally scheduled.
まず、Segwitを予定どおり開発をすすめます。もともと4月にデプロイ予定でしたので、そのタイムラインは変わらず。規定路線です。また、Segwitは、ソフトフォーク(ソフトウェアのアップデート)ですむので、まず、それを行うという内容です。Segwitファーストが合意されました。
- We will continue to work with the entire Bitcoin protocol development community to develop, in public, a safe hard-fork based on the improvements in SegWit. The Bitcoin Core contributors present at the Bitcoin Roundtable will have an implementation of such a hard-fork available as a recommendation to Bitcoin Core within three months after the release of SegWit.
ここが新しい部分です。コア開発者は、Segwitを試すも、将来のハードフォークには否定的なスタンスを貫いて来ました。Segwitで十分にスケーラビリティ問題は解決すると考えていたようです。しかし、コア開発者が譲歩し、Segwitのあと、2Mへの拡張を行うというハードフォーク案を約束しました。コア開発者によるハードフォークのコードをSegwitのリリース後3ヶ月以内(つまり7月)に、提案するとあります。
Bitcoin Classisの採択ではなく、コア開発者のほうでハードフォークのコードを書き、それをが提案されるということになります。
- This hard-fork is expected to include features which are currently being discussed within technical communities, including an increase in the non-witness data to be around 2 MB, with the total size no more than 4 MB, and will only be adopted with broad support across the entire Bitcoin community.