2024年の米大統領選挙は、トランプ大統領の圧勝でした。しかし、その勝利の原動力となったのは、有権者の根本的な政策支持ではなく、暗号通貨業界からの史上最大規模の政治献金だったことは、皆さんもご存知のとおりです。
ですが、この状況は逆に2026年に来るであろうビットコインの調整幅を大きくするだけの結果となるかもしれません。
当記事では、米国内で徐々に沸き起こりつつある反クリプト運動を振り返りつつ、2026年の米中間選挙に向けてビットコインが調整を入れる可能性について考えていきたいと思います。
トランプ圧勝の陰に潜む暗号通貨マネー
暗号通貨企業は2024年選挙サイクルで1億3400万ドルという巨額を投じました。これは全企業献金の実に44%を占めるにいたります。ほぼ独占ですね。
主要なプレイヤーとして、CoinbaseとRippleだけでも9000万ドル以上をFairshakeなどの親クリプトPACに注ぎ込んでいます。
注:「親クリプトPAC」とは、アメリカの政治資金制度における「PAC(Political Action Committee=政治活動委員会)」のうち、暗号通貨業界の利益を推進・擁護することを目的とした団体を指します。
一方、有権者層を見ても暗号通貨の影響は明らかでした。
2025年現在、約28%のアメリカ成人(約6500万人)が暗号通貨を保有しており、これらの「クリプト有権者」の92%が投票に参加するとの事前調査結果もあります。
https://consensys.io/blog/new-data-reveals-importance-of-pro-crypto-voters-in-us-election
しかし注目すべきは、新規参入者の頭打ちです。Security.orgの調査では、2022年から2025年にかけて暗号通貨を保有している人の割合は、33%から28%へと下落しています。

[さらに米国内では、あまりに露骨なマネタイズ政治に、反クリプトの旗を立てる人たちも出てき始めています。
トランプの「マネタイズ・ファースト」政治
大統領就任後のトランプ氏の行動は、業界が期待していた「親クリプト政策」ではなく、自らの私的利益を最優先する「マネタイズ・ファースト」戦略でした。
最も象徴的だったのは、$TRUMPミームコインの発行です。大統領という公的地位を利用して自身の暗号通貨を発行し、投資家から数億ドルを調達。
さらに、Truth Socialの親会社は25億ドルのビットコイン投資計画を発表し、トランプ一族を企業レベルでの最大ビットコイン保有者にしようとしています。
より深刻なのは、政治的アクセスの露骨な販売です。$TRUMPコインに合計約4億ドルを投資した220人が、バージニア州のゴルフクラブでの「100万ドル級夕食会」に招待されました。
これはもはや政治献金ではなく、大統領への直接的なアクセス購入とも言われそうですね。
Coinbaseも同様の戦略を取り、トランプの誕生日でもある6月14日の軍事パレードを含むAmerica250イベントの主要スポンサーになると発表。
トランプ政権への「忠誠」の対価として、SEC調査の停止などの便宜を受けています。露骨な金権政治ですね。
民主党の反撃:「汚職クリプト」戦略
民主党は既にこの状況を政治的攻撃材料として活用し始めています。最も象徴的なのは「暗号通貨汚職終結法」の提出です。