中国政府は「国家ブロックチェーン技術革新センター(国家区块链技术创新中心)」を開設したそうで、新華社などの中国政府系メディアで2022年5月10日に発表されました(記事)。
中国語でブロックチェーンは「区块链(区塊鎖)」と表されるのですが、このセンターは大学や研究機関、企業と連携し「国家主链」すなわちナショナルメインチェーンを構築することを目的としています。国際貿易、サプライチェーン金融、エネルギー、生産の安全性、食品産業などの分野にサービスを供給するためのインフラを形成するのだそうです。また、50万人のブロックチェーン専門家育成を目指しているそうです。
今回は、中国におけるブロックチェーン関連産業がどうなっていくのか、ここ数年の現象をまとめつつ、考えたいと思います。その中で、上述のセンターがどのような意味を持つかについてまとめます。
北京の役割と国家戦略
改革開放の流れの中で、科学技術は国家繁栄の基盤として重要視されるようになりました。その後、現在まで一貫して、中国は科学技術振興に力を入れていることは良く知られています。
北京の北西に中関村というところがあります。1980年、陳春先という物理学者が中関村に「先進技術開発サービス部(先进技术发展服务部)」という非政府組織をつくりました。これは当時の中国政府が認めていなかった、いわゆる「民営企業」でした。陳春先は過去にアメリカのハイテク産業を調査した際に感銘を受けたそうで、帰国後に創業したというわけです。
1980年代は秋葉原のような電気街のようだったのが、現在の中関村は「中国におけるシリコンバレー」と呼ばれることもあるようなエリアであり、日本や海外企業のR&Dセンターができています。
この中関村に先述の国家ブロックチェーン技術革新センターができたそうです。