ビットコインを自社のビジネスにどう導入すべきか、具体的なイメージが湧かない方も多いのではないでしょうか。
現在、ビットコインは単なる投資対象にとどまらず、決済サービスや国際送金、リワードなど、さまざまな領域で活用され始めています。特にビットコインのレイヤー2技術であるライトニングネットワークの普及により、送金の利便性が向上し、コストも削減されたことで、ビジネスへの導入がより現実的なものになってきています。
この記事では、ビットコインおよびライトニングネットワークが、どのようにビジネスに活用されているかを、具体的な導入事例を交えて解説します。
ビットコインやライトニングネットワークが事業で活きる3つの場面
ビットコインが事業で活かされる場面として、主に決済サービスや国際送金、リワードが挙げられます。ここでは、場面ごとにビットコインがどう活用されているかを説明します。
決済サービスとして活用
ビットコインは、実店舗やECサイトでの決済手段として活用できます。決済手段として活用することで、クレジットカード会社などの仲介業者に支払う仲介手数料をなくすことができ、コスト削減が狙えます。
例えばクレジットカード決済では、約3~10%の仲介手数料を店舗側が支払う必要がありますが、ビットコイン決済では仲介業者への手数料が発生しないため、コストを抑えることができます。更にライトニングネットワークを用いた決済では、即座に決済処理が完了するため、店舗側はカード会社からの入金を待つこともなくなります。
決済手段としてビットコインを受け入れることで、ビットコインを保有している層にアピールでき、ブランドイメージの向上にもつながります。米ファストフード大手のSteak’n Shake(ステーキンシェイク)は、2025年5月にライトニングネットワークを通じたビットコイン決済を全店舗で開始し、話題となりました。
国際送金として活用
国際送金の場面でも活用できます。ビットコインによる送金は国境を意識する必要がないため、従来の国際送金よりも圧倒的に送金手数料を抑えることができます。
例えば、従来の銀行を用いた国際送金では、数千円以上の高額な送金手数料がかかりますが、ビットコインであれば数円から数百円程度の送金手数料で済みます。また、銀行での国際送金は3〜5日以上の処理時間を要しますが、ビットコインは比較的短時間で送金が可能です。グローバルな商取引を行う事業者にとって、この時間とコストの削減効果は極めて大きな意味を持ちます。
米フィンテック企業Strikeは、ライトニングネットワークを活用した国際送金サービスを提供し、低コストな手数料と即時処理を武器に、国際送金市場での存在感を高めています。
リワードとしての活用
ポイント付与といったリワードにもビットコインは活用できます。
従来のポイントシステムは、特定の企業やサービス内でしか利用できない閉鎖的な仕組みでした。有効期限が設定されていることも多く、使わないまま失効してしまうケースも少なくありません。一方、ビットコインは世界中で取引可能な暗号資産であり、換金性や利便性という点で優れています。
また、企業としても自社ポイントを運用・管理する手間やコストが発生しません。ポイント管理システムの構築・保守、有効期限の追跡、未使用ポイントの負債計上といった煩雑な業務が不要となり、よりシンプルな顧客還元の仕組みを実現できます。
日本ビットコイン産業株式会社がリリースしたアプリ「ヤップアイランド」では、従来の「ポイ活」に代わり、クイズに答えるだけでビットコインがもらえる新たな「ビッ活」体験を提供しています。
ビットコインやライトニングネットワークを活用したビジネス事例5選
ビットコインやライトニングネットワークを活用しているビジネスを厳選して5つご紹介します。
1. Strike(ストライク)

Strikeは、ライトニングネットワークを活用した国際送金サービス「Send Globally」を提供しています。取引手数料は無料、そして最短5秒で国際送金ができ、銀行や既存の送金事業者を利用する際に発生する高額な送金手数料や処理時間といったコストをなくしています。
また、ユーザーが送金したビットコインを瞬時に送金先の法定通貨に交換するシステムを提供することでボラティリティリスクを回避する仕組みを実現しています。
同社のサービスは、国際送金サービス以外にもビットコインの売買や決済サービスを対応しており、アメリカやヨーロッパといった95か国以上で現在利用できます(日本では利用できません)。その内、国際送金サービス「Send Globally」に対応している場所は、メキシコやフィリピン、ナイジェリアなど14の国と法定通貨に現在対応しており、今後も利用可能な国を継続的に増やしていく予定とのこと。
URL: https://strike.me/
2. ヤップアイランド

「ヤップアイランド」は、お金やビットコインに関するクイズに正解することでビットコインを獲得できるアプリです。クイズを通じて学びながら、ポイ活感覚でビットコインを貯めることができます。
リワードにビットコインを採用している点が特徴で、従来のポイ活にはない価値をユーザーに提供しています。ビットコインは価格が変動する特性があるため、ユーザーにとっては「資産が増える可能性のあるリワード」としてより魅力的に映ります。
アプリで獲得したビットコインは、自身のウォレットに引き出すことが可能です。また、現在は初回リリース期間のため、10,000ユーザー限定での利用制限となっています。
ios:ダウンロードはこちら
Android:ダウンロードはこちら
3. Fold(フォールド)

Foldは、ビットコインをただ売買するだけでなく、日常生活の中でビットコインを積み上げられる金融サービスを提供しています。
主力サービスは、日常的な買い物に対してビットコインを付与するリワードプログラムです。例えば、ユーザーはFoldが提供するデビットカードの利用額に応じてビットコインを獲得できます。
他にも、ドルコスト平均法でビットコインを自動購入できる機能や、給与の一部をビットコインに変換して受け取る機能も提供しています。また、小売店とも提携しており、Foldが発行したビットコインのギフトカードが米国の主要な小売店で販売されています。
Foldは、ビットコインのみを取り扱う事業でありながら、2025年2月に米ナスダック市場への上場を果たしました。TECHBLITZの記事によると、アメリカでは現在60万人以上が利用しており、2026年の日本進出も視野に入れているとのことです。
URL: https://foldapp.com/
4. Steak’n Shake(ステーキンシェイク)

Steak'n Shakeは、2025年5月にビットコイン決済を導入した、1934年創業の老舗ハンバーガーチェーン店です。現在、米国を中心に約400店舗を展開しており、全店舗でライトニングネットワークを用いたビットコイン決済が利用可能となっています。
同社は、期間限定でビットコインのロゴが描かれた記念バーガーを販売するなど、ビットコイン活用を積極的にアピールしています。また、公式Xで2025年第2四半期の既存店売上高が10.7%増加したと発表しており、ビットコイン決済の導入が売上向上に一定の効果があったと見られます。
さらに同社は、顧客の決済に使用されたビットコイン(BTC)を全て戦略資産として長期保有する方針を明らかにしています。
URL: https://www.steaknshake.com/
5. Square(スクエア)

Square(スクエア)は、中小企業や個人事業主向けの決済サービス、およびPOSシステムを提供する企業です。
「Square Bitcoin」というビットコイン決済・変換ソリューションを提供しており、米国内の約400万を越えるSquare加盟店が、ビットコイン決済を受け入れることが可能です。また、加盟店は日々のカード売上の最大50%を自動的にビットコインへ変換することができ、資産を多様化させることもできます。
まとめ:ビットコインの事業活用が徐々に増えてきている
ビットコインとライトニングネットワークは、決済サービスや国際送金、報酬付与といった分野で活用されています。従来の金融システムにかかる決済・送金コストを削減する存在として、新たな市場を創出しています。なお、今回紹介した事例以外にもビットコインを活用した事業やサービスは多々あり、その数は徐々に増えてきています。
ビットコインを単なる投資対象ではなく、ビジネスでも活用されていることを理解し、自社のサービスや新規事業の参考にしていただければ幸いです。
日本ビットコイン産業では、ビットコインやライトニングネットワークの事業活用に関する相談を受け付けております。
貴社ビジネスにおいてどのようにビットコインを導入できそうか、技術的な疑問についても可能な範囲でお答えさせていただきます。少しでも関心をお持ちでしたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。